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ヨーロッパの消費税(VAT):国別の税率と日本からEUに販売するときのルール

ヨーロッパの消費税はVAT(付加価値税)と呼ばれ、EUの標準税率は国ごとに17%〜27%です。 日本の事業者がEUの消費者に販売する場合、売上の基準(免税点)はなく、最初の1件からVATの対象になります。150ユーロ以下の商品はIOSS、アプリやオンライン講座などのデジタルサービスは非EU OSS、企業向けの販売はリバースチャージで処理するのが基本です。

日本からEUに販売するときのポイント(2026年)内容
標準税率17%(ルクセンブルク)〜27%(ハンガリー)。ドイツ19%、フランス20%
価格の表示VAT込み
日本の事業者の売上基準なし(最初の1件から対象)
150ユーロ以下の商品を消費者に送るIOSSに登録して販売時にVATを徴収、またはマーケットプレイスが徴収
150ユーロを超える商品輸入時にVATと関税(購入者か、DDPなら販売者が払う)
デジタルサービスを消費者に売る非EU OSSに1か国で登録し、四半期ごとに申告
EUの企業に売るリバースチャージ(購入者がVATを処理)
2026年7月からの変更150ユーロ以下の小口の商品にも1品目あたり3ユーロの関税

まとめ: マーケットプレイスだけで日本から発送しているなら、VATはプラットフォームが処理します。自社ショップからEUの消費者に150ユーロ以下の商品を送るなら、IOSSに登録すると購入者が受け取り時に税を払わずに済み、受け取り拒否が減ります。EU域内の倉庫に在庫を置くなら、その国でVAT登録が必要です。

多くの商品には、購入者の国の標準税率がかかります。食品、書籍、医薬品などには軽減税率があり、対象は国によって違います。

国標準税率軽減税率
アイルランド23%0%、9%、13.5%
イタリア22%4%、5%、10%
エストニア24%9%、13%
オーストリア20%10%、13%
オランダ21%9%
キプロス19%5%、9%
ギリシャ24%6%、13%
クロアチア25%5%、13%
スウェーデン25%6%、12%
スペイン21%4%、10%
スロバキア23%5%、10%
スロベニア22%5%、9.5%
チェコ21%12%
デンマーク25%なし
ドイツ19%7%
ハンガリー27%5%、18%
フィンランド25.5%10%、14%
フランス20%5.5%、10%、2.1%
ブルガリア20%9%
ベルギー21%6%、12%
ポーランド23%5%、8%
ポルトガル23%6%、13%
マルタ18%5%、7%
ラトビア21%5%、12%
リトアニア21%5%、12%
ルーマニア21%11%
ルクセンブルク17%3%、8%、14%

2026年5月に確認した税率です。申告の前に、欧州委員会の税率データベースで最新の税率を確認してください。どの国の税率でもすぐに計算できるVAT計算ツール(英語)もあります。

イギリスはEUを離脱しており、税率も制度も別です。イギリスの消費税(VAT)のガイドを参照してください。

EUでは価格をVAT込みで表示するのが一般的です。

  • 税抜き価格からVATを足す: 50ユーロ × 20%(フランス)= 10ユーロ。表示価格は60ユーロ
  • VAT込みの価格からVATを取り出す: 60ユーロ × 20 ÷ 120 = 10ユーロ

同じ商品でも、ドイツ(19%)なら50ユーロ × 19% = 9.50ユーロ、ハンガリー(27%)なら13.50ユーロです。国ごとに税率を設定してください。

日本の事業者には売上基準がない

Section titled “日本の事業者には売上基準がない”

EUには国境を越えた販売の基準として「年間1万ユーロ」がありますが、これはEU域内の事業者だけに適用されます。日本の事業者には基準がなく、最初の1件からEUのVATの対象です。どう処理するかは、次の2つで決まります。

  1. 購入者は消費者か、企業か
  2. 商品の金額は150ユーロ以下か(物販の場合)
あなたの状況使う制度やること
150ユーロ以下の商品を、自社ショップから消費者に送るIOSSEUの代理人を通じて登録し、販売時に購入者の国のVATを徴収。毎月申告
150ユーロ以下の商品を、Amazon・eBay・Etsyで販売マーケットプレイスが処理登録は通常不要
150ユーロを超える商品を消費者に送る制度なし輸入時にVATと関税。購入者払いか、DDPで販売者が払う
EU域内の倉庫(FBAなど)に在庫を置く在庫のある国でのVAT登録輸入VATの申告と、その国での販売の申告
アプリ、オンライン講座、電子書籍、SaaSを消費者に販売非EU OSS1か国で登録し、四半期ごとに全EU分を申告
EUの企業に販売リバースチャージVAT番号を確認し、VATなしで請求(購入者がVATを処理)

消費者に商品を送る場合(IOSS)

Section titled “消費者に商品を送る場合(IOSS)”

**IOSS(Import One-Stop Shop)**は、EU域外から150ユーロ以下の商品を消費者に送るための制度です。

  • 登録: 日本の事業者は、EUに拠点のある**代理人(インターミディアリー)**を通じて登録する必要があります。費用は代理人と取引量によって、月10〜300ユーロ程度です
  • IOSS番号: 登録すると、「IM」で始まる12文字の番号(IM+10桁)が届きます。ショップと配送業者のシステムに設定し、税関の書類で電子的に送ります
  • 販売時: 購入者の国の税率でVATを徴収します(ドイツなら19%、フランスなら20%)
  • 申告: 毎月、全EU分をまとめて申告・納付します

IOSSを使わない場合、商品がEUに届いたときに税関がVATを課し、配送業者が手数料を上乗せして購入者に請求します。予想外の支払いによって受け取りを拒否されることも多く、その場合の返送コストは販売者の負担になりがちです。

150ユーロを超える商品にはIOSSを使えません。輸入時にVATと関税がかかり、購入者が払うか、DDP(関税込み)で発送して販売者が払います。日本原産の商品は、日EU経済連携協定(EPA)で関税が下がる場合があります。

2026年6月30日までは、150ユーロ以下の商品はEUの関税が免除されていました。2026年7月1日からは1品目あたり3ユーロの関税がかかります。IOSSに登録していても対象です。単価の安い商品では負担が大きくなるため、価格に含めるか、決済画面で関税として請求するかを決めておきましょう。

EU域外から送る150ユーロ以下の商品を、マーケットプレイスで消費者に販売した場合、マーケットプレイスが売主とみなされ、VATを徴収して納めます(みなし供給者)。マーケットプレイスだけで日本から発送しているなら、通常、自分でVAT登録する必要はありません。

ただし、AmazonのFBAなどでEU域内の倉庫に在庫を置く場合は話が変わります。在庫を輸入するときの輸入VATを申告・控除するため、在庫のある国(ドイツなど)でのVAT登録が必要です。複数の国の倉庫を使うなら、それぞれの国で登録が必要になることがあります。

アプリやオンライン講座を売る場合(非EU OSS)

Section titled “アプリやオンライン講座を売る場合(非EU OSS)”

アプリ、オンライン講座、電子書籍、音楽、デザイン素材、SaaSなどのデジタルサービスをEUの消費者に販売すると、購入者の国の税率でVATがかかります。日本の事業者は**非EU OSS(Non-Union OSS)**を使います。

  • EUのどこか1か国(アイルランドなど)で登録します。代理人は不要です
  • 購入者の国の税率でVATを徴収します
  • 四半期ごとに、全EU分をまとめて申告・納付します
  • 売上の基準はなく、最初の1件から対象です

App StoreやGoogle Play、Steamなどのストア経由の販売は、通常ストアがVATを納めます。非EU OSSで申告するのは、自社サイトやStripeなどで直接販売した分です。

EUの企業に売る場合(リバースチャージ)

Section titled “EUの企業に売る場合(リバースチャージ)”

EUのVAT登録をしている企業に販売する場合は、VATを請求せず、購入者が自国でVATを処理します(リバースチャージ)。

  1. 購入者のVAT番号をもらい、EUのVIESで有効か確認します
  2. VATなしで請求書を発行し、「Reverse charge」と記載します
  3. 確認した日付と結果を保管します

VAT番号の形式や確認方法は、VAT番号とは?日本の会社が聞かれたときの答え方で説明しています。

例:京都の和紙雑貨ショップの場合

Section titled “例:京都の和紙雑貨ショップの場合”

**京都の和紙雑貨ブランド「Washi Studio」**は、Shopifyの自社ショップからヨーロッパに発送しています。主力の和紙ノートは、VAT込みで40ユーロです。

IOSSに登録した場合: ドイツの購入者には40ユーロのうち6.39ユーロ(40 × 19 ÷ 119)がドイツのVAT、フランスの購入者には6.67ユーロ(40 × 20 ÷ 120)がフランスのVATです。Washi Studioは毎月、代理人を通じてまとめて申告します。購入者は受け取り時に何も払いません。2026年7月からは、ノート1品目につき3ユーロの関税もかかるため、Washi Studioは決済画面で関税を表示することにしました。

IOSSに登録しない場合: ドイツの購入者は、受け取り時に輸入VAT(40ユーロ × 19% = 7.60ユーロ)、関税、配送業者の手数料を払います。予想外の請求で受け取りを拒否されると、返送の費用はWashi Studioの負担です。

Amazon.deでも販売する場合: 日本から発送する150ユーロ以下の注文は、AmazonがVATを処理します。Amazonの倉庫(FBA)にノートを置き始めたら、ドイツでのVAT登録が必要になります。

ヨーロッパの消費税は何%ですか?

Section titled “ヨーロッパの消費税は何%ですか?”

EUの消費税はVAT(付加価値税)と呼ばれ、標準税率は国ごとに17%(ルクセンブルク)〜27%(ハンガリー)です。ドイツは19%、フランスは20%、イタリアは22%です。食品や書籍などには軽減税率がかかります。EUの店頭価格はVAT込みで表示されます。

日本からEUの消費者に販売する場合、売上がいくらになったらVATがかかりますか?

Section titled “日本からEUの消費者に販売する場合、売上がいくらになったらVATがかかりますか?”

売上の基準はありません。EU域外の事業者には、EU域内の事業者向けの1万ユーロの基準が適用されず、最初の1件からEUのVATの対象になります。誰がVATを納めるかは、販売方法(自社ショップかマーケットプレイスか)と、商品の金額(150ユーロ以下か)で決まります。

IOSS(Import One-Stop Shop)は、EU域外から150ユーロ以下の商品を消費者に送る事業者が、販売時にVATを徴収して、1か所でまとめて申告できる制度です。日本の事業者はEUに拠点のある代理人(インターミディアリー)を通じて登録し、毎月申告します。IOSSを使うと、購入者は受け取り時にVATや手数料を払わずに済みます。

AmazonやeBayで販売する場合もVAT登録が必要ですか?

Section titled “AmazonやeBayで販売する場合もVAT登録が必要ですか?”

EU域外から送る150ユーロ以下の商品なら、マーケットプレイスがVATを徴収して納めるので、登録は通常不要です。ただし、AmazonのFBAなどでEU域内の倉庫に在庫を置く場合は、在庫のある国でのVAT登録が必要です。

2026年7月から何が変わりましたか?

Section titled “2026年7月から何が変わりましたか?”

2026年7月1日から、EUに送る150ユーロ以下の小口の商品にも1品目あたり3ユーロの関税がかかるようになりました。これまでは150ユーロ以下の商品は関税が免除されていました。IOSSに登録していても関税はかかります。

アプリやオンライン講座をEUの消費者に販売する場合は?

Section titled “アプリやオンライン講座をEUの消費者に販売する場合は?”

デジタルサービスは、購入者の国の税率でVATがかかります。日本の事業者は、EUのどこか1か国で非EU OSS(Non-Union OSS)に登録し、四半期ごとに全EU分をまとめて申告します。売上の基準はなく、最初の1件から対象です。App StoreやGoogle Playなどのアプリストア経由の販売は、通常ストアがVATを納めます。